IPMとは？
最近は 802.3bt Class 6 のPoE電力リソースが必要なAPが増えており、APのリプレイスに合わせてPoE Switchも802.3btでご利用頂くのがベストです。
とはいえ、コストも高くなるし、電力消費量も高くなるので、802.3at のまま利用する方法はないですか？といったお問合せもよくもらいます。
そこで便利な機能がAruba APがサポートしている IPM (Intelligent Power Monitoring) という機能です。
この機能は、利用可能な電力リソースに応じてAPの電力要件を動的に制限します。
つまり、PoEで供給される電力が足りない時（802.3atで供給されている時）に、APの一部の機能を無効にすることで、Wi-Fiの最低限の機能を維持することができるようになります。
例えば、今のAPはほぼ全て、USBのポートが付いており、そこにセルラー接続や、IoT機器連携のなどモジュールを接続できます。
Wi-Fi APとして利用するだけでこの機能が不要であれば、この機能を無効化し、電力ソースが少なくても動作することができます。
その他にも、状況に応じて以下のようなケースが考えられます。
- USB無効、すべての無線の送信出力は18 dBm EIRP以下に制限
- USB無効、イーサネットポートが1つ、すべての無線の送信出力は21 dBm EIRP以下に制限
- USB無効、イーサネットポートが1つ、いずれか1つの無線が無効化されている状態
これらは全て動的に行われます。
APが消費する電力は、常にデータシートの最大電力（worst case）ではありません。
端末が数台しか接続していない状態、トラフィック量が少ない場合は消費電力が少ないので、
最新のWI-Fi 7 APも、802.3at Class4 のPoE（25.5W）で制限無しで利用できるケースがあります。
以下の表は、あくまでも起動時で、接続端末数が少なくトラフィック量も多くない時ののもとしてご理解下さい。
図：起動時（負荷がない時）にIPM有効である場合の各APのPoE電力リソース毎の制限
残念ながら、802.3af で利用できるものは減ってきていますが、802.3at Class 4 であればほとんどのAPが動作します（詳細はそれぞれのAPのデータシートでご確認下さい）
スイッチのリプレイスが困難な時は、IPMの機能を使って、最新のWi-Fi機能で快適なネットワークを利用しましょう！
IPMの設定
IPMの設定はデフォルトで無効になっています。
以下のように、アクセスポイントグループ > システム > IPM でチェックすることで簡単に有効にできます。
多くの場合は有効にするだけでも良いと思いますが、電力が足りなくなった時に、どの機能を優先的に無効にするかを手動で設定できます。
設定可能な項目は柔軟で多くあるので、こちらのマニュアルをご参照下さい。
IPMのステータス確認
IPMのステータスは以下のコマンドで詳細を確認することができます。
# show ap debug system-status | begin "Power Status"
# show ap power-mgmt-statistics
以下は参考までに、IPM無効時、有効時のAP-755（PoEは802.3at）のものになります。
IPM 無効時
AP-755# show ap debug system-status | begin "Power Status"
Power Status
------------
Item Value
---- -----
Power Supply : POE-AT
LLDP Power : Successfully negotiated at 25.5W
Current Operational State : USB port(s) USB0 USB1 disabled; Radio 0: 2x2 15dBm, Radio 1: 2x2 15dBm, Radio 2: 2x2 15dBm
Eth0 HW POE status : POE AT, LLDP power: 25.5W
Eth1 HW POE status : NONE, LLDP power: 0.0W
AP-755# show ap power-mgmt-statistics
Attr Value
---- -----
LLDP Granted Power Eth 0: 25.5 Eth 1: 0.0
LLDP Request Power Eth 0: 25.5 Eth 1: 25.5
Power Supply POE-AT
Power Status Power Restricted
USB Status USB0: Auto/Disabled. USB1: Auto/Disabled.
PSE Status N.A.
ETH Status Eth 0:Enabled. Eth 1:Disabled.
Radio 0 Chain 2*2
Radio 0 Enable Enabled
Radio 0 Power 15dBm
Radio 1 Chain 2*2
Radio 1 Enable Enabled
Radio 1 Power 15dBm
Radio 2 Chain 2*2
Radio 2 Enable Enabled
Radio 2 Power 15dBm
CPU Throttle 100%
Power Consumption 12.0W
IPM Enable Disabled
ITM Status Not Supported
IPM 有効時
AP-755# show ap debug system-status | begin "Power Status"
Power Status
------------
Item Value
---- -----
Power Supply : POE-AT
LLDP Power : Successfully negotiated at 25.5W
Current Operational State : No restrictions (Overridden by LLDP)
Eth0 HW POE status : POE AT, LLDP power: 25.5W
Eth1 HW POE status : NONE, LLDP power: 0.0W
AP-755# show ap power-mgmt-statistics
Attr Value
---- -----
LLDP Granted Power Eth 0: 25.5 Eth 1: 0.0
LLDP Request Power Eth 0: 25.5 Eth 1: 25.5
Power Supply POE-AT
Power Status No Restrictions
USB Status USB0: Auto/Enabled. USB1: Auto/Enabled.
PSE Status N.A.
ETH Status Eth 0:Enabled. Eth 1:Enabled.
Radio 0 Chain 4*4
Radio 0 Enable Enabled
Radio 0 Power Full Power
Radio 1 Chain 4*4
Radio 1 Enable Enabled
Radio 1 Power Full Power
Radio 2 Chain 4*4
Radio 2 Enable Enabled
Radio 2 Power Full Power
CPU Throttle 100%
Power Consumption 12.6W
IPM Enable Enabled
ITM Status Not Supported
------------------------------
Keita Shimono,
Aruba Japan SE Manager & Airheads Leader
------------------------------