幸いにもまだまだWi-Fi、ネットワークのニーズは高く、Aruba もその中で評価を頂いています。
その結果、Juniper Mist 、Cisco Meraki 等との競合比較がいくつかのサイトで行われていますが、残念ながらその中には、7年以上前の古い情報を使っていたり、そもそも間違った情報が伝わってしまっているようです。
さすがに Aruba の間違った情報が広まってしまうのは見過ごせないので、Aruba Centralに関しての部分は、最新の正しい情報を提供していきたいと思います。
「無線ネットワークの重要な機能」「無線ネットワークの本当に重要な機能、その2」について書きましたが、今回は「人工知能」のトピックについて書いてみようと思います。
人工知能
仮想ネットワークアシスタント
仮想アシスタントはサポートしている?
この機能自体は某社さんの独自機能なので、無くて当たり前なのですが、恐らくチャットボットのようなものを指しているのだと思います。
チャットボットはありませんが、チャットでケースオープンしてやり取りすることは可能です。(英語です)
また、AI Search という機能があり、これを使えばチャットのやり取りでは無いですが、設定や見たい情報を検索すれば、すぐに表示してくれます。
このAI Searchのボックスは常に一番上に表示されているので、いつでもすぐに検索できます。
また、Aruba Centralの標準サブスクリプションに含まれているので、追加コストも不要です。
AI Searchについては、過去の記事も是非ご参照下さい。
AI Search になんでも聞いちゃおう
AI Search の便利な機能:サーチカード
異常検知
異常検知は限定的(DHCP, AAA, RFを使用)?
異常検知はもちろん限定的です。全ての異常を検知することは技術的に不可能です。
ただし、タイトルにあるように、DHCP, AAA, RF に限定はされていません。これらに加え、CPUやメモリの使用率、再起動、NTP、有線スイッチのポートフラップなど40以上のコンテキストに対応したAI Insightsという機能で異常検知が可能です。(詳細はこちらのマニュアルでご確認頂けます)
自動運転機能
自動運転機能って?
恐らく、AIを使って異常検知をし、その結果を元に自動的に修復するような機能のことだと思います。
Arubaは上記の機能をサポートしているかと聞かれると、Yesになります。
まず、無線電波の自動調整機能は、まさに自動運転です。AIが出てくるもっと前から備えていますし、今はAirMatchという機能でAIも取り入れた自動調整機能です。
その他に、AI Insights という機能の中で、異常検知時に設定値を自動変更する機能があります。
ただし、実際の変更を実行するかどうかの最終判断はマニュアルです。これは、100%自動で設定変更までして、データ通信に不用意な影響を与えることを防ぐためになります。ネットワーク管理に限らず、AIの結果に応じた最終判断をマニュアルにすることは一般的な動作だと思います。
以下がその機能の例で、こちらの記事もご参照下さい。
非常に基本的なドライバーアシスト機能?
ドライバーアシスト機能の定義が不明瞭ですが、恐らくAIを使って異常検知をし、対策案を提示するまでの運用者のサポートをする機能のことかと思います。
Arubaはこの機能は"非常に基本的"ではなく、むしろ他社に比べて最も優れている機能の中の1つと言えます。
異常時に対応するためには、様々な設定パラメータの調整が必要になります。Wi-FiもWiredのスイッチも、オンプレのOSをそのままクラウド管理にしているので、設定パラメータは圧倒的に多く、対策案も具体的に提示することができます。
Wi-Fiの機能、設定についてはこちらの記事もご参照下さい。(競合のソリューション比較について "無線ネットワークの本当に重要な機能", その2)
以下のAI Insigtsの画面では、AIを使った異常検知時に推奨事項として以下の様に具体的な設定パラメータ(SSID毎に802.11k, 11vの有効有無)を提示している例です。
AIドリブンのロケーション
正確な地図配置に基づいた三角測量に依存している?
現時点ではフロアマップに手動でAPをマッピングし、APの三角測量に基づいているので上記は事実です。
ただし、Wi-Fi 6E対応のAP-6xx シリーズのAPからは、APにGPSアンテナが内蔵されているので、フロアマップ上にGPS情報に基づいてAPを自動配置することができる様になります。さらに、Open Locate というフレームワークで、端末がAPからの情報を元に、GPSベースの位置情報を得ることもできる様になります。
↓APに組み込まれているGPSレシーバ
APの自動配置、Open Locate新機能で、近々サポートする予定の機能なので、ご期待下さい。
詳細は以下のドキュメントや動画をご参照下さい。
自己位置情報検出型無線アクセス・ポイント・ソリューション概要
Aruba Introduces the World’s First Self-Locating Access Points
BLEクライアントの差によるエラー発生
これも事実です。現時点でArubaがサポートしているBLEクライアント位置情報サービスのMeridianはBLEビーコンと端末のアプリを使って端末の位置情報を表示する機能で、クライアント(端末)によって精度に差が出てしまいます。
その代わり、BLEビーコンの設置数を増やすことで位置情報の精度を上げることができる様になっているので、クライアントの差を埋めるだけの柔軟な対応ができると思います。
AIドリブンのRF最適化
AIを利用したチャネルの最適化なし?
これは間違いです。
従来のArubaのRF最適化機能である ARM はAIは利用していませんが、20年以上の歴史があり、安定したWi-Fiの提供を実現していました。
そのARMを進化させたAirMatchをAruba Centralではサポートしています。
このAirMatchは、ARMの20年以上の経験値とAIを活用したRFの最適化機能です。
AIを使った最適化には十分なデータや教師あり学習も不可欠で、Arubaはそれらの情報をとても多く持っているので、安定、最適なWi-FiのRF環境を提供することができます。
AirMatchにはコントローラとモビリティマスターが必要?
これも間違いで、AOS 10のAPとAruba CentralでAirMatchを利用することができます。
データを収集する機器とNetInsightサーバが必要
これも間違いです。
NetInsightは、2016年にRASA Networks社を買収した時の製品ですが、買収後、その機能をAruba Centralの中に組み込んでいるので、専用機器、サーバなどは一切不要です。
AIドリブンのサポート
AIドリブンの自動サポート機能はない?
AIアシストは、ログを収集し、手動分析のためにAruba Supportにメールを送信する基本的な手動ボタン?
上記日本語の説明がわかりにくい部分がありますが、そもそもどこまでの機能をAIドリブンのサポートと定義するかによって回答は異なります。
ArubaのAIアシストでは、ログ、クラッシュログの自動取得、パケットキャプチャの自動取得、TACへの自動通知機能が含まれています。これらをもって、AIドリブンの自動サポート機能と言うこともできるかと思います。
仮に、全てのトラブルに対して、ログの収集、ログの解析、トラブルシューティング、原因の特定、解決策の実行までをAIドリブンのサポート機能と定義すれば、それは実現することはできません。実現できれば理想的だとは思いますが、そもそもそれが実現できると、トラブル自体が自動的にゼロになっていくと思います。
自動RMA機能というのもある様ですが、これを実現するには、全てのデバイスの保守管理者の連絡先、デバイスの設置場所の住所を把握する必要もありますし、仮に物が届いても、すぐに交換できない場合はどうするのか、等の課題が多く現時点では現実的では無いと判断し、Arubaとしてはサポートしていません。
このAIドリブンのサポートはトピックとしては面白いので、Arubaとして具体的にどのように取り組んでいるか、別の場で改めて記載しようと思います。
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Keita Shimono,
Aruba Japan SE Manager & Airheads Leader
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